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弁護士法人柴田・中川法律特許事務所

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高年齢者雇用安定法の改正について

2014/3/10 月曜日 13:36

1 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下、「高年齢者雇用安定法」)が改正され、2013年4月から、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されることとなったことをご存知でしょうか??

2 まずは、改正前の高年齢者雇用安定法について見てみましょう。

 少子高齢化が進む現代社会において、高齢者の労働力を効率的に活用していくことが不可欠となりました。また、老齢基礎年金の支給開始年齢が65歳からであることおよび老齢厚生年金の報酬部分の支給開始年齢も段階的に引上げられることとなったことから労働者が65歳までの収入を確保することが必要不可欠となりました。
 そこで、改正前の法律では、65歳未満の定年制度を定めている企業に対して、(ⅰ)定年の引上げ、(ⅱ)定年の廃止、(ⅲ)継続雇用制度(希望する労働者に対し、勤務を延長するまたは再雇用する制度)の導入のいずれかの措置を講ずることを義務づけていました。
 ここでポイントとなることは、(ⅲ)継続雇用制度は、一定の手続きを踏めば、継続雇用制度の対象者を限定することが可能ということです。
 すなわち、企業としては、継続雇用制度を導入し、対象者の範囲を限定すれば、65歳まで雇用すべき労働者を減少させることができました。

3 今回の改正
 今回の改正では、この一定の手続きで対象者を限定するという仕組みを廃止したのです。
 すなわち、いずれにしても企業は、希望する労働者に対し、65歳までの雇用を義務付けられることとなりました。
 なお、この規定には経過措置が設けられています。完全に廃止されるのは、2025年4月1日ということになっています。

4 実務上の留意点
 継続雇用制度は、勤務延長制度または再雇用制度のいずれかの制度のことです。継続雇用制度を導入する場合の実務上の主な留意点を検討してみましょう。
(1) 勤務延長制度
 勤務延長制度とは、定年に達した者を退職させることなく、原則として同一労働条件のまま雇用を延長することです。
 したがって、同一条件で勤務することとなるので、賃金等も変更することができません。そのため、この制度の導入にあたり、給与体系の見直しや役職定年制を設けるなどの勤務内容の見直し等の処遇体系の見直しが必要不可欠となってきます。
(2) 再雇用制度
 再雇用制度とは、定年に達した者がその定めに従っていったん退職した上で、新たな労働契約を締結して再び雇用される制度のことです。
 そのため、労働条件は再雇用時に見直されることとなりますので、企業の実態に合わせて柔軟に賃金、雇用形態、労働時間等を決定することができますので、企業にとっては利点の多い制度ではないでしょうか。
 しかし、勤務条件を決定するにあたっても、いくつかの留意点があります。
 ①まずは、雇用形態です。
 派遣契約にする場合には、労働者派遣法により、派遣期間の制限の受けないものを除いて、原則1年となっていますので、継続して5年間同じ派遣先に勤務させることはできません。
 ②次に、雇用期間です。
 再雇用制度で雇用する場合には、期間の定めのある雇用契約にする場合が多いと思います。この場合で、5年を超える場合には、無期労働契約に強制的に転換する可能性があることに注意してください(詳細は、私の前回のコラムを参照して下さい。)。
 ③そして、労働時間です。
 労働時間は、労働基準法の範囲内で、原則として当該労働者に応じた労働時間を決定できますが、労働時間の長短によって社会保険の適用等が変わってくる可能性があります。

 継続雇用制度を導入するにあたっては、ほかにも留意すべき事項が発生してくると思います。導入される企業の方で、お困りの方は、お近くの弁護士に相談してみるとよいでしょう。

有期労働契約が無期労働契約に変わる!?

2013/3/29 金曜日 23:27

1 はじめに

 2012年8月に労働契約法の一部が改正され、一定の条件を満たしたような場合には、有期労働契約(期間の定めのある労働契約)が無期労働契約(期間の定めのない労働契約)に転換する旨の規定が定められました(無期転換ルール)。2013年4月1日から施行されます。今回は、この点についてお話をしようと思います。

 

2 概要

 有期労働契約が5年を超えて反復更新されている(通算契約期間が5年を超えている)場合に、当該労働者が無期労働契約の締結の申し込みをしたときは、使用者は、別段の定めがある部分を除いて従前と同一の労働条件で当該申し込みを承諾したものとみなすこととなりました(改正労働契約法第18条)。

 ここでの重要なポイントは2つあります。

 1点目は、通算契約期間が5年を超えたという期間的な区切りのみで、有期労働契約を無期労働契約に強制的に転換させる権利(これを無期転換申込権といいます)を当該労働者に与えたという点です。

 2点目は、その権利を労働者が行使した場合には使用者は拒絶することはできないという点です。一定の条件を満たした有期労働契約者は、使用者に対し無期労働契約への転換を申し出れば、使用者の意向にかかわりなく無期契約に転換することができるということです。

 

3 実務上の主な留意点

 

  (1) 通算契約期間5年の起算日

  改正労働契約法第18条の規定は、改正法施行日である2013年4月1日以降の日を契約期間の初日とする有期労働契約から適用し、改正法施行日前の有期労働契約は通算契約期間に算入しません(改正法附則第2項)。

   そのため、有期労働契約を締結している者で、契約を更新していて2013年4月1日時点ですでに通算契約期間が5年を経過している場合であっても、2013年4月1日時点で無期転換申込権は発生しないことになります。

 

  (2) 介護休業などの期間の計算

  通算契約期間は、労働契約の存続期間で計算します。

   したがって、介護休業などで実際に勤務していない期間も、通算契約期間には算入されることになります。

 

  (3) 労働者による申込

   無期労働契約に転換されるためには、その労働者が無期転換申込権を行使する必要があります(改正労働契約法第18条)。

 行使期間は、「当該契約期間中に通算契約期間が5年を超えることとなる有期労働契約の契約期間の初日から当該有期労働契約の契約期間が満了する日まで」(改正通達)です。

   例えば、2013年6月1日に2年間の期間の定めのある契約した労働者が3回更新した場合を考えてみましょう。3回目の更新後の2018年6月1日時点で、通算契約期間が5年を超えることになります。この場合、3回目の更新をした有期契約の初日である2017年6月1日から同契約の終了日である2019年5月31日までに無期転換申込権を行使しなければならないことになります。

   なお、使用者は、労働者に対しこの無期転換申込権をあらかじめ放棄させることはできません(改正通達)。使用者の皆様、ご注意ください。

 

  (4) 無期労働契約転換後の労働条件

    契約期間を除き、労働条件は原則として有期労働契約締結時と同一になります。ただし、別段の定めがあればそれに従うことになります(改正労働契約法第18条第1項)。

   なお、この場合、労働契約法12条との関係にも注意してください。別段の定めをしていなかったとしても、就業規則の定め方次第では、労働条件が変更される可能性があります。

 

4 まとめ

  今回の改正は、使用者が無期契約への転換を拒絶できないという点で、きわめて重大な意義を有します。今後、有期労働契約を締結する場合には、今回の改正を念頭に置かれることをおすすめします。