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弁護士法人柴田・中川法律特許事務所

愛知県豊橋市・静岡県浜松市の弁護士11名・弁理士2名が所属する法律特許事務所

もし、自分の大切な人が逮捕されたら?

2014/4/7 月曜日 15:41

【事例】
Q1 夫が警察に逮捕されました。夫はこの後どうなってしまうのでしょうか。
1 今後の流れ
  逮捕されると、通常は警察署内にある留置場に留置され、外部との連絡ができなくなります。当然、仕事に行くこともできません。
  この期間は、最長72時間ですが、この間に検察官が勾留(より長期の身体拘束のことをいいます)を請求し、裁判官がこれを許可すると、さらに最長20日間も出られなくなることがあります。実務上、23日間拘束されることは頻繁にあります。
  身柄拘束中は、警察官や検察官による取調べが行われたり、自宅や勤務先会社での捜索、参考人の取調べなどといった捜査が行われたりします。
  この拘束期間中、検察官により起訴(裁判にかけること、と考えてもらって構いません)されると、釈放されたり、保釈が認められたりする場合を除き、裁判終了まで(事件の内容によるため、どれくらいの期間か、一概にいうことができません)出ることはできないことが多いです。当然、実刑判決が下されれば、拘束が解かれることはありません。
2 面会について
  夫が逮捕された場合、妻が夫に警察署内等で会うことができる場合があります。しかし、その場合でも、①平日の日中の15分~20分程度であること ②人数制限(1回の面会で2~3名まで) ③警察官が同席し会話を聞かれるといった条件があります。さらに、勾留による身体拘束に加え接見(面会のことと考えてください)等禁止の決定がなされると、面会できるのは弁護士だけとなり(実務上、接見等禁止決定がされている事案は多いです)。
Q2 弁護士を依頼した場合、私たちの力になってくれるのでしょうか。
  逮捕されると、前記1のように拘束が続くこととなります。
  逮捕された後直ちに弁護士が選任されれば、検察官による長期の身体拘束の請求を阻止することができる可能性があります(事案によっては、勾留が続く場合も当然あります)。仮に勾留請求がされて裁判官が許可した場合でも、勾留決定に対する不服申立てを行うことで、身体拘束から解放される可能性があります。
  万が一、勾留が決定されたとしても、不起訴処分を得るために被害者との示談や、接見禁止決定がされている場合には接見禁止の一部解除申立てや準抗告を行う等弁護活動を行います(必ずしも功を奏するとは限りません)。
  このように、弁護士を選任し、弁護士が被疑者のためさまざまな弁護活動を行うことで、被疑者にとっても家族にとっても良い結果をもたらす場合があるといえます。
Q3 弁護士を依頼するにはどうすればいいでしょうか。
  あなたに知り合いの弁護士がいて、弁護士費用を支払うことができる場合は、本人や家族が弁護士(私選弁護人)に依頼することができます。
  知合いの弁護士がいない場合や弁護士費用を支払えない場合でも、当番弁護士制度や被疑者国選制度等を利用することで、弁護士の相談や弁護活動をしてもらうことができます。
Q4 私選弁護人と国選弁護人はどう違うのですか。
1 まず、Q3とも関連しますが、弁護士費用が異なってきます。一般的に、私選弁護人は国選弁護人よりも費用が高いといえます。
  この点は、私選弁護人を選任するうえでデメリットとなります。
2 また、弁護人が付く時期が異なります。
  国選弁護人は、起訴された後(被告人国選)付く場合と、起訴される前の被疑者の段階で(被疑者国選)付く場合の2パターンがあります。被疑者国選の場合は、勾留決定後に付くことが多いです。
  他方、私選弁護人は、刑事ドラマなどでよく見る任意同行や逮捕・勾留された直後などから付くことが可能ですから、勾留自体を阻止するために弁護活動を行うことができます。
  Q1で述べたように、逮捕され身体拘束を受ければ、外部との連絡や仕事に行くことはできなくなり、社会的地位も失われる可能性があります。拘束期間が長ければ長いほど、損害は重大なものとなりえます。
  そのため、私選弁護人を選任することは、早期に弁護活動を行うことができる点でメリットであるといえます。
Q5 Q4に関連して、国選弁護人は、報酬が安いため真剣に弁護をしてくれないと聞きましたが本当でしょうか。
  この質問は本当によくありますが、私選弁護人であろうと国選弁護人であろうと、弁護活動に大きく違いが出ることは基本的にありません。
  しかし、Q2で述べたような示談交渉を弁護士が積極的に行うとか、留置されている警察署内等に何度も行き、本人を励ましたり、就労先に何度も連絡する等ということがなかなか難しいということはあると考えています。
 逮捕され、身体拘束が長期化すればするほど、大きなトラブルに巻き込まれる可能性は高くなります。早期の身体拘束解放のためにも、このような場合には直ちにお近くの法律事務所にご相談されることをお勧めします。

労働時間

2013/5/2 木曜日 9:58

1 はじめに
居酒屋で飲んでいると、隣の席から「いや~、うちの会社遅くまで仕事させておいてさあ、それで給料でないんだよなあ、サービス残業辛いよ」との声がよく聞こえてきます。居酒屋では単なる会社への愚痴で終わる話ですが、発展させてこの問題を法律的に考えるとどうなるのでしょうか、簡単なケースをもとにお話ししたいと思います。

2 事例

(1)質問1
私は、販売員をしています。その日はとても忙しかったので、定時の午後6時を過ぎても店を開けるよう言われ、私も残ってレジ打ちに追われていまし た。しかしながら、午後7時からは一人もお客さんが来なかったので、8時に閉めることになったのですが、午後7時からの1時間ボーっとして過ごしてし まいました。使用者からは「キミは、午後7時から8時までの1時間までは何もしていなかったじゃないか。残業代なんて出るはずがない」と言われてしま いましたが、午後6時から午後8時までの2時間分につき、残業代はもらえますよね?

(2)質問2
私は、ビルの警備員をしています。業務内容は夜間の巡回、監視ですが、業務の合間に仮眠時間が2時間だけ認められています。場所はビル内の  仮眠室で、ビル内の警報が鳴れば対応しなければなりません。なぜかこのビルではよく警報が鳴るんですよ・・。使用者からは、「キミは、その時間寝て いるじゃないか。その時間分の賃金は払わない」と言われています。確かに私はその時間には寝ていますけど、この時間の分の給料も出ますよね?

3 労働時間とは

(1)この事例には、質問者の地位や残業代としての手当支給、そして就業規則上の規定など様々な問題がありますが、今回は、賃金、時間外手当を支 払うための前提となる労働時間に絞って述べていきたいと思います。

(2)まず、労働者が労働をしたことに対する対価として、使用者に対して賃金請求をすることができるのは当然です。今回の事例1では、質問者の働いた午後6時から8時までの時間、事例2では仮眠時間としての2時間が労基法上の「労働時間」にあたれば、賃金または時間外手当を支払ってもらえる可 能性があります。
では、「労働時間」とはいかなる時間を指すのでしょうか。
最一小判平成12・3・9民集54巻3号801頁、判タ1029号161頁・三菱重工長崎造船事件では、「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下 に置かれている時間、をいい、この労働時間に該当するか否かは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かによ り客観的に定まる旨判断しています。
また、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていた、という部分について、上記判例は、「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所 内で行うことを事業者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外に行うものとされている場合であっても、当該  行為は特段の事情ない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ・・る」と述べています。

(3)では、今回の事例1、事例2にそれぞれ当てはめてみましょう。
(ⅰ)事例1
本件では、質問者は午後6時から午後7時までは、客の対応をしていたとのことですから、「労働時間」に該当するのは誰の目から見ても明らかです。
午後7時から午後8時までの間は、一人も客が来なかったとのことですが、もし客が来たら質問者は対応をするよう言われている(もしくは、質問者もそ れを分かっているので何も言われていない)、というのが普通ですよね。面倒という理由で対応しなかったら使用者に怒られますよね。すなわち、これ  は、使用者の指示があれば直ちに作業に従事しなければならない時間、ということになるわけです。
したがって、「労働時間」にあたるわけです。
(ⅱ)事例2
本件では、質問者は仮眠時間といえども、ビル内で仮眠するよう使用者から言われており、家に帰って眠れるというわけではありません。また、ビル内 の警報が鳴れば対応するよう使用者から言われていることも、質問者が使用者の指揮命令下にあると評価できます。
確かに、質問者の対応は、警報が鳴ったときに限られるとは言えますが、頻繁に警報が鳴り、対応に駆り出されるという点で、対応の必要が皆無に等し いなどの事情はありませんから、指揮命令下におかれているといえます。
したがって、これも「労働時間」にあたります。

4 おわりに
労働時間をめぐる賃金、時間外手当の問題には、今回取り上げた問題以外にも、冒頭で述べたように、賃金請求者が「管理監督者」の地位にあるか、割増賃金に対応する手当の支給がされているか、など、複雑な問題が存在しています。
後々のトラブルを防ぐためにも、早めに弁護士に相談することをお勧めします。