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弁護士法人柴田・中川法律特許事務所

愛知県豊橋市・静岡県浜松市の弁護士11名・弁理士2名が所属する法律特許事務所

住宅ローンと離婚

2011/10/21 金曜日 13:33

 離婚にまつわるお金の問題については、平成21年11月のコラムで紹介されているところでありますが、今回は、テーマを絞って「住宅ローンと離婚」について触れてみたいと思います。
 

【離婚の際の財産分与で住宅ローンも分けられますか。】
 この問題は、私どもが法律相談に行くと、しばしば尋ねられる問題です。
 まず、財産分与というものが、夫婦で築き上げた財産を分けましょう、という制度なのですから、プラスの財産もマイナスの財産も分けるということが考えられます。
 ですので、例えば、預貯金や保険や株式や家などを合計して、プラスの財産が○○円、住宅ローンや生活費の借入金などを合計して、マイナスの財産が○○円となったとすると、プラスの財産合計からマイナスの財産合計を差し引いて、残った財産を夫婦で分けるということが、基本的な考え方になります。
 なお、いわゆるオーバーローンの状態(住宅の評価額よりも住宅ローンの残額の方が大きい状態)の住宅については、その価値は零だという裁判例(東京高判平成10年2月26日)がある一方で、その他の財産状況(プラスの財産の有無)や当事者間の合意により、扱いが変わりうるため、注意が必要です。

 

【離婚後の住宅ローンは、誰が負担しますか。】
 住宅ローンは、そもそも銀行と支払義務者(夫または妻、あるいは双方)との関係ですので、仮に夫が住宅ローンの支払義務者だとすると、夫婦間で住宅を妻のものにしたからといって、支払義務者が自動的に妻に切り替わる訳ではありません。
 この場合、変更の申し出が必要となりますが、銀行が住宅ローンの支払義務者の変更に同意してくれなければ、支払義務者は依然として夫のままです。
 そうすると、夫の側が住宅ローンを支払い続けていれば良いのですが、支払いを怠った場合には、離婚のときに妻のものとしたはずの住宅が競売に掛かることもあります。
 ですので、諸々の対応策は考えられますが、結局のところ、住宅ローンの支払義務者と住宅取得者は一致させておく方が安全ではないかと思われます。もっとも、実際の調停ないし裁判の場面では、それぞれ状況が異なりますので、ご依頼されている弁護士と十分に協議ないし検討されることをお勧めします。

 

【住宅ローンにつき連帯保証(または連帯債務)があります、どうしたらいいですか。】
 この問題も、銀行との関係に注意しなければなりません。
 すなわち、連帯保証は、あくまでも銀行と連帯保証人である当人との間に結ばれていますので、銀行の同意が得られなければ、離婚時に当事者だけで「連帯保証を外す」と合意しても、連帯保証の関係から外れることはできません。実際上、かなり困難ではありますが、別の保証人を立てる、担保を提供するなどして、銀行からの同意を得る必要があります。

 

【住宅ローンを組んだときの頭金の清算は、どうしたらいいですか。】
 住宅ローンの頭金を御両親のいずれかが出してくれた、といったケースで問題となることが多いようです。この場合、割合的な解決を図ることが考えられます。
 3,000万円の住宅を購入したときに、頭金500万円を出してもらったとすると、住宅の購入にあたり、6分の1の寄与があったということになります。その後、離婚時の住宅の価値が1,800万円になったとすると、1,800万円の6分の1(300万円)を除外して、残りの1,500万円を分けます。その後、除外した300万円を頭金を出して貰った側に加える計算(750万円+300万円)が原則となります。

 

【最後に】
 住宅ローンと離婚について、テーマを絞ってお話をしましたが、夫婦それぞれの状況によって、回答が異なってくるというのが実際のところです。近年、巷には、弁護士以外の様々な相談窓口があるように見受けられますが、それぞれの状況に応じた最終的な解決まで辿り着くために、様々な相談窓口を経て遠回りをして、費用と時間を使うことは決して得策とは思えません。住宅ローンと離婚という問題に限らず、いざというときのために、一歩踏み込んだ相談ができる弁護士を見つけておくことが大事なのではないかと思います。
 

                                                                                                               以 上 

ヤミ金被害の防止のために

2011/5/4 水曜日 20:08
ヤミ金業者に対する刑事・民事上の規制
多重債務問題の深刻化を踏まえ、改正貸金業法は、総借入残高が年収の3分の1を超える貸付けを原則として禁止しました(いわゆる総量規制)。
しかし、この総量規制等により新たな借入れができなくなった方が、やむを得ず、いわゆるヤミ金業者から借入れをしてしまうおそれがあります。
一度ヤミ金業者から借入れをしてしまうと、借主はとことん追い詰められ、またヤミ金業者の得た違法な利益は暴力団等の資金源になると言われていますので、今回はヤミ金業者に対する規制について説明します。
ヤミ金業者
法令上の用語ではありませんが、貸金業法に定める登録を受けることなく貸金業を行うものをいいます。10日で1割(トイチ)等の高金利を要求するのが通常です。
刑事上の規制
① 貸金業法に定める登録を受けることなく貸金業を行う行為は、10年以下の懲役及び3,000万円以下の罰金の対象となります(貸金業法法47条2号・11条1項)。
② 貸金業を行う者が、年利20パーセントを超過する高金利の契約・受領・要求をする行為は、5年以下の懲役及び1,000万円以下の罰金の対象となり(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律5条2項)、年利109.5パーセントを超過する高金利の契約・受領・要求をする行為は、10年以下の懲役及び3,000万円以下の罰金の対象となります(同法5条3項)。
民事上の規制
① 貸金業を行う者が、年利109.5パーセントを超過する高金利の契約をした場合、その契約(金銭消費貸借契約)自体が無効となり(貸金業法42条1項)、利息の支払いはもちろん、元金の返還も不要となります。
② また、年利109.5パーセントを超過しない場合でも、公序良俗に反する高金利であると判断されれば、その契約自体が無効となります(民法90条)。
このような刑事上及び民事上の規制等を通じて、ヤミ金被害の防止を図ることが可能です。
やむを得ずヤミ金業者から借入れをしてしまった場合には、すみやかに警察、暴力追放愛知県民会議、弁護士などの専門機関に相談して下さい。
多重債務問題の深刻化を踏まえ、改正貸金業法は、総借入残高が年収の3分の1を超える貸付けを原則として禁止しました(いわゆる総量規制)。
しかし、この総量規制等により新たな借入れができなくなった方が、いわゆるヤミ金業者から借入れをしてしまうおそれがあります。
                                                                                                                                                              
ヤミ金業者から借入れをしてしまったら、大変です!
違法高金利のため、返しても返しても元金は減らず、返済が滞るようなことがあれば、厳しい取立てによりとことん追い詰められてしまいます。
そのようなことにならないために、ヤミ金業者からは決して借入れをしないようにして下さい。
                                                                                                                                                             
では、ヤミ金業者から借入れをしてしまった場合は、どうすればいいのか。
ヤミ金業者に対しては、以下のような刑事上および民事上の規制がなされていますので、すみやかに、警察や弁護士、暴力追放愛知県民会議などに相談して下さい。
                                                                                                                                                             
【ヤミ金業者とは】
法令上の用語ではありませんが、貸金業法に定める登録を受けることなく貸金業を行うものをいいます。
10日で1割(トイチ)などの高金利を要求するのが通常です。
また、ヤミ金業者の得た利益は暴力団等の資金源になると言われています。
                                                                                                                                                              
【刑事上の規制について】
① 貸金業法に定める登録を受けることなく貸金業を行う行為は、10年以下の懲役及び3,000万円以下の罰金の対象となります(貸金業法47条2号・11条1項)。
② 貸金業を行う者が、年利20パーセントを超過する高金利の契約・受領・要求をする行為は、5年以下の懲役及び1,000万円以下の罰金の対象となり(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律5条2項)、年利109.5パーセントを超過する高金利の契約・受領・要求をする行為は、10年以下の懲役及び3,000万円以下の罰金の対象となります(同法5条3項)。
                                                                                                                                                             
【民事上の規制について】
① 貸金業を行う者が、年利109.5パーセントを超過する高金利の契約をした場合、その契約(金銭消費貸借契約)自体が無効となり(貸金業法42条1項)、利息の支払いはもちろん、元金の返還も不要となります。
② また、年利109.5パーセントを超過しない場合でも、公序良俗に反する高金利であると判断されれば、その契約自体が無効となり(民法90条)、利息の支払いも元金の返還も不要となります。
                                                                                                                                                             
このような刑事上及び民事上の規制を通じて、ヤミ金被害の防止を図ることが可能です。
ヤミ金被害を拡大させないためにも、またヤミ金業者に利益を与えないためにも、ヤミ金業者から借入れをしてしまった場合は、すみやかに、警察や弁護士、暴力追放愛知県民会議などに相談して下さい。

地震を巡る法律問題について

2011/3/29 火曜日 17:58

 このたびの東日本大震災で亡くなられた方々に対し、謹んでお悔やみを申し上げるとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 なお、地震を巡る法律問題につきまして、日本弁護士連合会の災害復興支援委員会が作成したQ&Aを参考とし、幾つかの問題点を紹介させて頂きます。

 

【地震で家屋が倒壊した場合、住宅ローンはどうなりますか】
 家屋が倒壊した場合であっても、住宅ローンの支払い義務は残ってしまいます。
 もっとも、金融機関によっては、金利や支払いの減免措置を設けて相談に応じている機関もありますので、一度、住宅ローンの窓口で相談されることをお勧めします。
 
【損害保険について、教えて下さい】
 身体・生命に関する損害について、いわゆる生命保険は、終身保険等の主契約と災害特約等の特約が組み合わさっていることが多く、保険の内容によって支払われる保険金が変わってきます。保険の内容は、保険証券に記載されていますが、紛失してしまった場合には、保険会社から再発行してもらうことができます。
 また、地震や津波による居住家屋等の損害に関して、保険金が支払われるのは、いわゆる地震保険です。
 先程の質問にあった住宅ローンの残債務については、地震保険の保険金が充てられることがあります。なお、一般的には火災保険と地震保険は、セットで同時加入することが多いのですが、火災保険期間の途中からでも加入することができるようになっておりますので、詳細につきましては、保険窓口に問い合わせをされることをお勧めします。

 

【罹災都市借地借家臨時処理法とは何ですか】
 被災された方が、それまで住んでいた場所にできるだけ住み続けられるように保護するための法律です。
 土地を借りていた人であれば、①政令施行日から5年間は登記なくして対抗力が認められ(法第10条)、②借地権の残りの期間が政令施行日から10年間に延長されます(法第11条)。家を借りていた人であれば、③相当な条件で家が建っていた土地を借りられる場合があり(法第2条、第3条)、④相当な条件で再築された建物を借りられる場合があります(法第14条)。
 なお、同法には、申し出に関する条件がありますので、詳細につきましては、弁護士に相談する必要があると思われます。

 

【津波による自動車や家屋の問題】
 ①自分の所有する自動車、家屋が津波で流されて、他人の家を壊してしまった場合、損害賠償の責任を負いますか。②反対に、自分の所有する土地に、他人の自動車、家屋が津波で流されてきた場合、誰に撤去して貰えばよいのでしょうか。
 まず、①については、理論上は不法行為責任が問題となりうるところですが、過失があるとはいえず、自動車、家屋の所有者は、損害賠償責任を負わないと考えられます。
 次に、②については、民法上の原則は、自動車、家屋の所有者が費用を負担して撤去して貰うということになりますが、津波の被害の場合は、誰の所有物か分からないという事態が考えられ、その場合には、事実上、土地の所有者が費用を負担せざるを得ないということになります。
 もっとも、撤去については、国および市町村が公費を支出する特別措置が講じられることがあります(阪神淡路大震災における特別措置)。

 

【その他、注意すべき点がありますか】
 震災を契機として、悪徳業者から「災害復興支援のため、格安で家屋の修理をします」と持ちかけられ、これに応じたところ法外な金員を請求されたといった事案がみられます。
 こうした場合には、特定商取引法に基づくクーリングオフや、消費者契約法に基づく契約取消といった方法により、支払いを拒絶できる場合があります。もっとも、一旦、このような悪徳業者に金員を支払ってしまうと、その業者がたちどころに逃げてしまい、取り返すことが不可能となることがありますので、まずもって、持ちかけに応じることなく、万一、応じてしまった場合には、支払いを拒絶することが重要です。
 また、いわゆる振り込め詐欺には、重々ご注意下さい。

 

【平成23年10月31日補足】
 東日本大震災を巡る法律上の諸問題につきましては、震災直後の情勢と現在時点における情勢が異なってきています。各種法改正(一部相続放棄の期間伸長)や法律の適用有無の問題(罹災都市借地借家臨時処理法)、原子力損害の賠償に関する法律、被災者生活再建支援法、災害救助法などに加えて、東電請求書問題、原子力損害賠償紛争審査会指針といった様々な要素が混在している情勢にあります。こうした情勢から、各県の弁護団または相談会にてご相談の際にも、担当弁護士の回答が、暫定的なものとなってしまう場合がありますので、ご留意下さい。

 

以 上

交通事故の加害者が任意保険に入っていなかった場合には

2010/12/4 土曜日 20:11
自賠責保険というのは、自動車損害賠償保障法に基づく損害保険(自動車損害賠償責任保険)を指します。
損害保険というのは、加害者が被害者に賠償金を支払った場合に、加害者が保険会社から賠償金相当額の支払いを受けらるものとする制度です。
なお、自動車は、自賠責保険又はこれと同様の自賠責共済の契約をしていなければ、走行させることができません(強制保険)。
被害者が加害者の保険会社に保険金を請求できるの?
自賠責保険は、被害者に賠償金を支払った加害者が、保険会社から賠償金相当額の支払いを受けらるものとする制度です。
しかし、それだけでなく、被害者自身にも、保険会社に対する請求が認められています(被害者請求)。
被害者が加害者から賠償金の支払いを受けられなかった場合には、被害者請求の制度は、被害者にとって有用な制度となります。
どんな場合に保険金を請求できるの?
運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)が発生することが必要です。
運行供用者責任というのは、自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、自己に過失がないこと等を証明できない限り、損害賠償義務を負うという責任です。
交通事故を含む不法行為においては、被害者において加害者の過失を証明しなければならないのが原則ですが、運行供用者責任においては、加害者において自己の無過失を証明しなければならないとすることによって、被害者保護を強化しているのです。
ただし、運行供用者責任は、生命又は身体を害したとき(人身事故)に限定されており、物損事故については自賠責保険の請求はできません。
請求できる保険金の限度額は?
保険金の限度額については、死亡による損害は3,000万円、傷害による損害は120万円、後遺障害による損害は4,000万円と定められています。
保険金を請求できる期間に制限はないの?
平成22年4月1日より前に発生した事故について2年、それ以降に発生した事故については3年という制限(消滅時効)があります。
加害者が自賠責保険に入っていなかった場合やひき逃げで加害者が分からない場合はどうなるの?
政府の自動車損害賠償保障事業によって支払いを受けることができます。
ただし、加害者から一部の支払いを受けた場合や健康保険、労災保険等から給付を受けるべき場合は、その限度で政府の支払額は減額されます。
【はじめに】
交通事故の加害者が、任意保険に入っておらず、怪我をした被害者に賠償金を払うだけの金銭的余裕もなさそうだ。。。
こんな時、困ってしまいますよね。そのような場合には、加害者が契約している自賠責保険によって、一定限度まで支払いを受けることができます。
                                                    
【自賠責保険って何?】
自賠責保険というのは、自動車損害賠償保障法に基づく損害保険(自動車損害賠償責任保険)を指します。
損害保険というのは、加害者が被害者に賠償金を支払った場合に、加害者が保険会社から賠償金相当額の支払いを受けらるものとする制度です。
なお、自動車は、自賠責保険又はこれと同様の自賠責共済の契約をしていなければ、走行させることができません(強制保険)。
                                                    
【被害者が加害者の保険会社に保険金を請求できるの?】
自賠責保険は、被害者に賠償金を支払った加害者が、保険会社から賠償金相当額の支払いを受けらるものとする制度です。
しかし、それだけでなく、被害者自身にも、保険会社に対する請求が認められています(被害者請求)。
被害者が加害者から賠償金の支払いを受けられなかった場合には、被害者請求の制度は、被害者にとって有用な制度となります。
                                                   
【どんな場合に保険金を請求できるの?】
運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)が発生することが必要です。
運行供用者責任というのは、自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、自己に過失がないこと等を証明できない限り、損害賠償義務を負うという責任です。
交通事故を含む不法行為においては、被害者において加害者の過失を証明しなければならないのが原則ですが、運行供用者責任においては、加害者において自己の無過失を証明しなければならないとすることによって、被害者保護を強化しているのです。
ただし、運行供用者責任は、生命又は身体を害したとき(人身事故)に限定されており、物損事故については自賠責保険の請求はできません。
                                                    
【請求できる保険金の限度額は?】
保険金の限度額については、死亡による損害は3,000万円、傷害による損害は120万円、後遺障害による損害は4,000万円と定められています。
                                                    
【保険金を請求できる期間に制限はないの?】
平成22年4月1日より前に発生した事故について2年、それ以降に発生した事故については3年という制限(消滅時効)があります。
                                                   
【加害者が自賠責保険に入っていなかった場合やひき逃げで加害者が分からない場合はどうなるの?】
政府の自動車損害賠償保障事業によって支払いを受けることができます。
ただし、加害者から一部の支払いを受けた場合や健康保険、労災保険等から給付を受けるべき場合は、その限度で政府の支払額は減額されます。

成年後見制度について

2010/10/29 金曜日 17:15

 

【成年後見とはどのような制度ですか】
 例えば、認知症など精神上の障害によって、判断能力が不十分な人について、後見人などを選任して、その人の権利を守るための制度です。
 かつては、禁治産、準禁治産などという言葉で定められていましたが、現行法では、成年後見、保佐、補助などに改められました。
 
 

【どうして必要なのでしょうか】
 私たちの生活には、例えば、車を買ったり、マンションを借りたり、買い物をしたり、病院で治療を受けたりと、様々な場面があります。判断能力が十分でないと、こうしたことも、なかなか出来なくなってしまいます。
 現実の場面で「ままならない」という状態になることも、もちろん大変なのですが、法律的にこうした場面を見ていくと、物事を判断することができない状態で結んだ契約は、本人の真意に沿わないことがありますし、また、無効ないし取り消されることがあります。つまり、本人のみならず、相手の側から見ても安心して取引ができない状態になっているのです。
 そこで、後見人などを選任して、本人の代わりに法律行為を行ったり、あるいは重要な行為について、同意、取り消しを行ったり、手助けをして、本人の権利を守ることが必要となります。

 

【具体的にはどういった場面ですか】  

 例えば、認知症の方が、老人ホームなどの施設に入所しようとした場合、「入所契約」を結ばなくてはなりませんが、本人が既に物事を判断する能力を失ってしまっていると、本人だけで「契約」を結ぶことができません。  他にも、家庭内で相続の問題が発生した際、「遺産についてどうするのか、協議をする」という場面で、本人が物事を判断できないとなると、遺産の協議は進まないという事態に陥ってしまいます。  また、本人の財産を管理したり、処分したりしなければならない場合、本人の身の回りの世話が必要になる場合、判断能力が不十分な方の独り暮らしで悪質な訪問販売被害が懸念される場合など、様々な場面で成年後見制度を利用する必要が生じてきます。

 

【制度の利用にあたり、どのようなことに注意が必要でしょうか】

 まず、本人の判断能力がどのくらい不十分な状態か、により利用すべき制度が異なってきます。不十分な度合いが大きいものから、順に、後見、保佐、補助と3つの類型があります。  日常の事柄がよくわからない、生活上、買い物も全くできないようであれば、後見という制度を利用することになるでしょう。  

 

 【費用や時間はどのくらい掛かりますか】  

 原則として、本人の判断能力を、医師の鑑定によってみてもらう必要がありますので、鑑定費用が10万円前後と、これに加えて、弁護士費用等が必要となります(弁護士費用等については、お近くの法律事務所にご相談下さい)。  「後見人を付けたら費用が莫大で、本人の財産が無くなってしまうんじゃないか」とご心配の声をお聞きすることもありますが、成年後見制度は、あくまでも本人のための制度ですので、そのようなことはありません。  期間についても、家庭裁判所が迅速に審理を行っており、約2~3か月程度で審理が終了しています。

 

 ひとまずのところ、成年後見制度の大枠をご説明しましたが、より詳しくお尋ねになりたい場合や、実際に成年後見制度の利用をお考えの場合には、お近くの法律事務所にご相談されることをお勧めします。