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弁護士法人柴田・中川法律特許事務所

愛知県豊橋市・静岡県浜松市の弁護士12名・弁理士2名が所属する法律特許事務所

非嫡出子の相続について

1 民法第900条第4号但書は、結婚していない男女間に生まれた子(以下、「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」といいます)の相続分は、結婚している男女間に生まれた子(以下、「嫡出子(ちゃくしゅつし)」といいます)の相続分の2分の1とすることを定めています。
  つまり、ある男性Aさんに、妻との間に生まれたBさんという子どもと、妻以外の女性との間に生まれたCさんがいた場合、Aさんが亡くなった時に、非嫡出子であるCさんは、嫡出子であるBさんの半分しか財産をもらえないことになります。
  この民法の定めは、きちんと婚姻届を提出して法律上の婚姻をすることを尊重する趣旨で定められたといわれています。
  ところが、この定めが、憲法の法の下の平等(憲法第14条)に反し、非嫡出子を不当に差別するものではないかということが、以前から争われてきました。例を挙げて見ていきましょう。
2 仮に、Aさん夫婦とその子どもであるBさんが、長年平穏な家庭を営んでおり、Aさんの死後、これまで会ったこともないCさんが、突然Aさんの子どもだと名乗り出てきたような場合には、長年親子として生活してきたBさんが多く財産を相続することが、理屈にかなっているようにも思えます。
  しかし、例えば、Aさんが妻と結婚してBさんが生まれたものの、すぐに事実上離婚状態となり、離婚届を提出しないまま別の女性と家庭を作り、Cさんが生まれて、長年平穏な家庭生活を営んできたような場合はどうでしょうか?この場合、Aさんと長年親子として生活してきたのはCさんであるにもかかわらず、両親が法律上の婚姻関係になかったというだけで、CさんはBさんの半分しか財産を相続することができないことになります。
  このように、家族のあり方は、それぞれの家庭によって大きく異なるにもかかわらず、一律に、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とすることは、平等とはいえないように思われます。
  また、そもそも、嫡出子として生まれるか、非嫡出子として生まれるかは、その子どもには何の責任もないはずなのに、相続において不平等に扱われるとすれば、やはり問題があるでしょう。
3 この問題について、これまで最高裁判所は、憲法に反するという判断をしたことはありませんでした。
  しかし、この問題が争われた裁判について、最高裁判所で弁論期日が開かれたことから、近いうちに、最高裁判所が違憲の判断を下す可能性が大きくなってきました。
  家族関係が多様化した現在においては、両親が法律上の婚姻関係にあったか否かだけで相続において差を設けるのは、平等に反するとの判断が働いたものと思われます。
4 では、今後、最高裁判所で違憲判決が出た場合、相続にはどのように影響してくるのでしょうか。
  まず、違憲判決後に行われる相続手続については、現在の民法第900条第4号但書は適用されず、嫡出子と非嫡出子の相続分は平等として取り扱われることになるでしょう。また、立法府も、違憲判決を受けて、早期に同条項を削除することになると思われます。
  では、非嫡出子と嫡出子が関係する相続において、既に遺産分割がなされてしまった案件についてはどうなるのでしょうか?
  違憲判決の効力が、直ちに他の事件や過去の事件にさかのぼって及ぶわけではないので、既になされた遺産分割が覆ってしまうことにはなりません。ただし、既になされた遺産分割の当事者である非嫡出子が、本来は嫡出子と同様に相続できるはずであったのに、民法第900条第4号但書があったことによって、嫡出子の2分の1の相続分で遺産分割を成立させざるを得なかったとして、遺産分割の無効を争ったとすれば、場合によっては、無効となる可能性は残ります。
  おそらく、このような問題に対処するために、違憲判決がなされるとすれば、その判決中で、過去の遺産分割の効力に関して何らかの言及がなされると思われます。
  いずれにせよ、非常に重要な判決になりそうなので、ぜひ最高裁の判断には注目していきたいと思います。